一般に歴史の主役を担ったのは男たちだが、男たちと同等に、あるいはそれ以上に表舞台で活躍、異彩を放った女性も決して少なくない。後世に長く読み継がれる、文学史上に燦然と輝く王朝の文学作品を遺した女流作家、戦国乱世をしたたかに生き抜いた女性など、日本史を色鮮やかに彩った女たち−。そんな女たちの実像に迫る。
歴史は勝者によって書かれ、権力を握った者が自分に都合の良い「歴史」を残すことはいつの時代も行われてきた。また歴史を見る場合、時代によって捉え方や評価に違いのあることも念頭に入れておかなければならない。しかし、そうした様々なフィルターを通したものにしろ、歴史の表舞台を生き抜いた英傑・偉人たちの等身大に近い姿を、いま私たちは興味深くみることができる。
先人たちが遺した言葉には、様々な人生の知恵や教えが凝縮されている。また、ある場合には面と向かってはいえない“魂の叫び”とも取れる言葉がある。そんな言葉を遺し、歴史の舞台を足早に通り過ぎていった男たちの哀歓と、その素顔を紹介する。
古代より一般に女は男に随うものといわれてきた。ところが時代によって、人生を“受け身”でではなく、強烈な意思に基づいて生き抜いた女たちもいる。ある場合には天皇の“ご威光”をバックに、またある場合には武家棟梁のトップレディーやその母親としての権力をバックにして。そのさまは痛快でもある。
日本は狭い島国でありながら、様々な分野・領域で優れた人材を輩出してきた。それは商人の世界でも同様だ。世界の三大商人といえば一般にユダヤ人、インド人、中国人を思い浮かべる人が多いだろうが、これらと比較しても、決して日本人の商才が劣っていたわけではない。
明治維新後、欧米から「人は生まれながらにして平等である」という人権思想が入ってきてからも男女同権論は一部の啓蒙思想家たちによって唱えられるだけで、現実には江戸時代そのままの女性蔑視の状況は変わることがなかった。